書籍名:貸し込み(上)、(下)
書籍名:貸し込み(上)、(下)
著者:黒木 亮
出版社:角川文庫
実際にあった銀行の不正融資事件が題材となっています。
特に興味を持ったのは、対銀行側(銀行側の融資先)の弁護士の訴訟活動、特に、立証活動に関するリアルな記述です。著者の筆力があることや、筆者自身も関与された事件のようなので、この場面が正確に記載してあります。特に法廷での証人尋問の場面は圧巻といえます。
著者は、複雑であるはずの事件をよりわかり易く時系列を追ってストーリーを進める点や、人物描写をそれなりにしている点で松本清張の著作を彷彿とさせるとことがありますが、人物描写がもう少し巧みであったら更に興味を引く作品になっていたと思われます。
この事件を対銀行側で担当された椎名麻紗枝弁護士「100万人を破滅させた大銀行の犯罪」(講談社)も併読すると事件の内容がより鮮明に理解することができます。