書籍名:沈め屋と引き揚げ屋
書籍名:沈め屋と引き揚げ屋
著者: 和久 峻三
出版社:角川文庫
法人企業の平均寿命は、約23年と言われています。
「沈め屋と引き揚げ屋」は、老舗企業の倒産の危機を題材にした小説ですが、著者が、元新聞記者、弁護士の経歴をお持ちだけに、ストーリーが極めてリアルな展開を見せます。
まさに、こうして老舗企業は、凡庸な2代目社長に代替わりして倒産するという典型ストーリといえます。 著者は、テレビドラマ化された赤かぶ検事シリーズの原作者でもあります。本書は、民事保全手続を含めた訴訟手続や、白地手形を利用した取り込み詐欺の手口等につきリアルな記述がなされています。
さすがに現役の弁護士の著作だけに、物語を読み進めるうちに各法律の内容や手続について、正確でより深い理解をすることもできます。
将来法曹界やリーガルサービスの業務に携わる方にお勧めの小説といえます。特に手形法の重要論点である、白地手形振出しの法的責任に関して重要な示唆を与えてくれます。